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作成日:2026/07/06
リファラル採用とは?中小企業が人手不足時代に取り入れたい定着率の高い採用手法

東京商工リサーチが2026年6月19日に公表した「2026年6月 企業の『採用』に
関するアンケート調査」によると、従業員の定着率が高い採用方法として
「リファラル採用」が新卒採用や転職エージェントからの紹介を上回る結果となりました。


リファラル採用とは、社員が知人や友人を会社に紹介する、いわゆる「社員紹介」による採用方法です。


同調査では、リファラル採用を取り入れている企業は全体で49.2%と、ほぼ半数に広がっています。


また、定着率が高い採用方法としては、「リファラル採用」が18.5%で
「ハローワークを通じた中途採用」12.1%、「新卒採用」10.4%、「転職エージェントからの紹介」5.4%を上回りました。


特に中小企業では、リファラル採用が19.0%で最も高くなっており
中小企業の採用戦略を考えるうえで見逃せない結果です。


中小企業の採用は「採ること」より「定着すること」が重要


人手不足が続くなか、中小企業にとって採用活動は年々難しくなっています。

求人広告を出しても応募が集まりにくい。
ようやく採用できても、数か月で退職してしまう。
人材紹介会社を利用すれば、高額な紹介手数料がかかる。

このような悩みを抱えている事業主の方は少なくありません。

採用で大切なのは、単に「人を採ること」ではありません。

むしろ今の時代は、「採用した人に長く働いてもらえるか」が非常に重要です。

せっかく時間と費用をかけて採用しても、早期離職が起きれば
求人費用、面接対応、教育にかけた時間が大きな損失になります。

だからこそ、これからの中小企業には「定着率」を意識した採用戦略が求められます。


リファラル採用とは

リファラル採用とは、すでに会社で働いている社員から、知人や友人を紹介してもらう採用方法です。

一般的には「社員紹介制度」と考えるとわかりやすいでしょう。

求人広告や転職エージェントを通じた採用と違い、リファラル採用では、社員が自社の仕事内容や
職場の雰囲気を理解したうえで候補者を紹介します。

そのため、会社側にとっては「自社に合いそうな人」と出会いやすくなります。

候補者側にとっても、実際に働いている社員から会社の様子を聞けるため
入社前に職場のイメージを持ちやすくなります。

この「入社前の理解」が、入社後のミスマッチを減らすことにつながります。


なぜ中小企業にリファラル採用が向いているのか


中小企業は、大企業と比べて知名度や採用予算の面で不利になりがちです。

新卒採用をしようとしても、大手企業のように多くの学生に認知されているわけではありません。

求人広告を出しても、条件面だけで比較されると、大企業に見劣りしてしまうこともあります。

しかし、中小企業には中小企業ならではの魅力があります。

経営者との距離が近い。
仕事の幅が広い。
自分の働きが会社に直接影響する。
職場の雰囲気が温かい。
柔軟な働き方を相談しやすい。

こうした魅力は、求人票だけではなかなか伝わりません。

一方で、実際に働いている社員からであれば、「この会社はこういうところがいい」
「大変な面もあるけれど、こういう人には合う」といったリアルな情報を伝えることができます。

これがリファラル採用の強みです。

条件だけではなく、会社の空気感や価値観を伝えられるため、中小企業と相性が良い採用手法といえます。


リファラル採用が定着率向上につながる理由


早期離職の原因の一つに、「入社前に思っていた会社と違った」というギャップがあります。

仕事内容、人間関係、働き方、評価のされ方などについて、入社前のイメージと
入社後の現実に大きな差があると退職につながりやすくなります。

リファラル採用では、紹介者である社員が会社の実情をある程度伝えることができます。

良い面だけではなく、大変な面も含めて事前に知ることができれば
候補者は納得したうえで入社を検討できます。

その結果、入社後に「聞いていた話と違った」と感じにくくなります。

これは、定着率を高めるうえでとても大きなポイントです。

採用は、入口の数を増やせばよいというものではありません。

会社に合う人を採用し、その人が安心して力を発揮できる環境を整えることが大切です。


社員が紹介したくなる会社であることが前提


ただし、リファラル採用は制度を作ればすぐに成功するわけではありません。

社員が「この会社を知人に紹介したい」と思えることが前提です。

たとえば、職場の人間関係が悪い。
残業が多すぎる。
給与や評価に納得感がない。
経営者や上司への不信感がある。

このような状態では、社員は大切な知人を会社に紹介しにくいものです。

リファラル採用を成功させるには、まず社員自身が「この会社で働いていてよかった」
と感じられる職場づくりが必要です。

社労士の立場から見ても、採用の問題は採用活動だけで解決するものではありません。

労働時間の管理、賃金制度、評価制度、職場環境、人間関係など、日頃の労務管理が採用力にも直結します。

つまり、リファラル採用は「採用制度」であると同時に、「会社の職場環境が問われる制度」でもあります。


紹介報酬を支払う場合の注意点


リファラル採用を導入する際、紹介した社員に報酬を支払う会社もあります。

いわゆる紹介インセンティブです。

東京商工リサーチの調査では、リファラル採用を取り入れている企業のうち
「報酬は支払っていない」が40.9%で最多でした。

一方で、報酬を支払っている企業では「1万円〜10万円未満」が20.7%と多くなっています。

紹介報酬を設けること自体は、社員に協力してもらうきっかけになります。

ただし、支給条件があいまいなまま運用すると、後からトラブルになる可能性があります。

たとえば、次のような点は事前に決めておく必要があります。

紹介された人が入社した時点で支給するのか。

試用期間が終わってから支給するのか。

入社後すぐに退職した場合はどうするのか。

正社員だけを対象にするのか。

パートや契約社員も対象にするのか。

紹介した社員が退職した場合はどう扱うのか。


こうしたルールが不明確だと、「あの人には支払われたのに、自分には支払われない」
といった不公平感が生まれることがあります。


就業規則や社内ルールへの明記が大切


紹介報酬を継続的な制度として運用する場合は、就業規則や賃金規程
または社内ルールに明記しておくことが望ましいです。

特に金銭を支払う場合は、誰に、いつ、いくら、どの条件で支給するのかを明確にしておく必要があります。

中小企業では、経営者の判断で柔軟に対応しているケースも多くあります。

もちろん、柔軟な対応は中小企業の強みです。

しかし、柔軟さとあいまいさは違います。

その都度なんとなく支払う運用では、社員から見て基準がわかりにくくなります。

制度は複雑にする必要はありません。

大切なのは、誰が見てもわかるルールにしておくことです。

リファラル採用を安心して続けるためには、採用の仕組みだけでなく
労務管理上のルール整備も欠かせません。


アルムナイ採用との組み合わせも有効


今回の調査では、リファラル採用とあわせて「アルムナイ採用」も取り上げられています。

アルムナイ採用とは、過去に退職した社員を再び採用する方法です。

一度会社を離れた人であっても、会社の文化や仕事の進め方を理解しているため、再入社後のミスマッチが少ない可能性があります。

中小企業では、過去に働いていた社員との関係性も大切な採用資源になります。

結婚、出産、介護、転居、キャリアアップなど、退職理由は人それぞれです。

円満に退職した社員と良い関係を続けておくことで、将来的に「また一緒に働く」
という選択肢が生まれるかもしれません。

退職者を「もう関係のない人」と考えるのではなく、「将来またつながる可能性のある人」
と考えることも、人手不足時代の採用戦略の一つです。


中小企業の採用は「つながり」と「定着」が鍵


今回のニュースから見えてくるのは、中小企業の採用では
「会社に合う人をどう採用するか」がますます重要になっているということです。

大企業と同じように、知名度や採用予算で勝負するのは簡単ではありません。

だからこそ、自社をよく知る社員のつながりを活かすリファラル採用は
中小企業にとって有効な選択肢になります。

ただし、成功のポイントは「社員に紹介してもらうこと」だけではありません。

社員が紹介したくなる職場づくり。
紹介報酬をめぐるルール整備。
入社後に定着できる労務管理。

この3つをセットで考えることが大切です。

採用は、会社の未来をつくる大切な取り組みです。

「人を採る」だけでなく、「長く働いてくれる仲間を迎える」ために
自社に合ったリファラル採用の仕組みを検討してみてはいかがでしょうか。