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作成日:2026/08/25
会社が確認したい同一労働同一賃金の基本

パートやアルバイト、契約社員がいる会社では、正社員との待遇差について考える場面があります。

 

たとえば、

 

「正社員には賞与があるけれど、パートにはない」

「通勤手当は正社員だけに出している」

「同じような仕事をしているのに、時給や手当が違う」

「契約社員から待遇差について聞かれた」

 

このようなとき、会社として理由を説明できるでしょうか。

 

同一労働同一賃金という言葉は聞いたことがあっても、実際には何を確認すればよいのか分かりにくい部分もあります。

 

大切なのは、「正社員とパートをまったく同じ待遇にしなければならない」ということではありません。

 

一方で、「パートだから」「契約社員だから」という理由だけで、待遇差をつけてよいわけでもありません。

 

今回は、パートや契約社員との待遇差について、会社が確認しておきたい基本を社会保険労務士の視点からお伝えします。

 

 

【同一労働同一賃金とは】

 

同一労働同一賃金は、同じ会社で働く正社員と、パートタイム労働者や有期雇用労働者との間にある不合理な待遇差をなくすための考え方です。

 

ここでいう待遇は、基本給だけではありません。

 

賞与。

 

各種手当。

 

休暇。

 

福利厚生。

 

教育訓練。

 

休憩室や更衣室などの利用。

 

こうしたものも確認の対象になります。

 

つまり、給与だけを見ればよいという話ではありません。

 

「この手当はなぜ正社員だけなのか」

「この福利厚生はなぜパートには使えないのか」

「この差は仕事内容や責任の違いで説明できるのか」

 

このように、一つひとつの待遇について理由を確認することが大切です。

 

 

【待遇差がすべてダメというわけではない】

 

誤解されやすいのですが、正社員とパートの待遇差がすべて禁止されているわけではありません。

 

仕事の内容が違う。

 

責任の重さが違う。

 

配置転換や転勤の範囲が違う。

 

将来の役割や人材活用の仕組みが違う。

 

こうした事情があれば、待遇に差があること自体はあり得ます。

 

ただし、その差が不合理ではないと説明できることが大切です。

 

たとえば、正社員には店舗全体の管理や新人教育、クレーム対応、シフト調整まで任せている。

 

一方で、パートには決められた時間内で特定の業務を担当してもらっている。

 

このように役割や責任に違いがあるなら、その違いを整理しておく必要があります。

 

反対に、実際には同じ仕事をしていて、責任もほとんど変わらないのに、「パートだから手当なし」としている場合は注意が必要です。

 

 

【よく確認したい待遇】

 

会社でまず確認したいのは、正社員とパート・契約社員で差が出やすい待遇です。

 

たとえば、次のようなものがあります。

 

基本給。

 

賞与。

 

通勤手当。

 

役職手当。

 

皆勤手当。

 

食事手当。

 

慶弔休暇。

 

夏季休暇や年末年始休暇。

 

健康診断。

 

教育研修。

 

福利厚生施設の利用。

 

正社員だけに支給している手当がある場合、その理由を説明できるか確認しましょう。

 

特に、通勤手当や食事手当など、仕事の内容や責任の違いとは関係が薄いものは注意が必要です。

 

一方で、役職手当のように、役割や責任に応じて支給されるものは、その基準が明確になっているかが大切です。

 

「昔からそうしている」

「正社員だけの制度だから」

「パートには出さないことになっている」

 

という説明だけでは、十分とはいえない場合があります。

 

 

【説明を求められたときに答えられるか】

 

パートタイム・有期雇用労働法では、パートや契約社員などから待遇差の内容や理由について説明を求められた場合、会社は説明する必要があります。

 

ここで大切なのは、説明を求められてから慌てて考えるのでは遅いということです。

 

「なぜこの手当は正社員だけなのか」

 

「なぜ賞与の対象にならないのか」

 

「同じ仕事をしているのに、なぜ時給が違うのか」

 

このように聞かれたとき、会社として落ち着いて説明できるでしょうか。

 

説明できない待遇差がある場合は、見直しが必要になることもあります。

 

社員から質問されたときに、感情的に「会社の決まりだから」と返してしまうと、不信感につながります。

 

あらかじめ待遇ごとの考え方を整理しておくことが大切です。

 

 

【雇用契約書や就業規則も確認する】

 

待遇差を確認するときは、実際の運用だけでなく、雇用契約書や就業規則も見ておきましょう。

 

正社員用の就業規則。

 

パートタイム労働者用の規程。

 

有期契約社員の雇用契約書。

 

賃金規程。

 

賞与規程。

 

こうした書類の内容が、実際の運用と合っているかを確認します。

 

たとえば、就業規則には「通勤手当を支給する」と書いてあるのに、実際にはパートには支給していない場合があります。

 

また、雇用契約書には賞与について「あり」と書いてあるのに、実際には支給実績がないということもあります。

 

書類と実態がずれていると、トラブルになりやすくなります。

 

待遇を見直すときは、制度だけでなく、書類の整合性も確認しておきましょう。

 

 

【待遇差を見直すときの考え方】

 

待遇差を見直すときは、いきなりすべてを同じにしようとする必要はありません。

 

まずは、会社の中にどのような待遇があるかを洗い出すことから始めます。

 

正社員には何を支給しているのか。

 

パートには何を支給しているのか。

 

契約社員には何を支給しているのか。

 

それぞれの仕事内容や責任はどう違うのか。

 

その違いを待遇の差として説明できるのか。

 

この順番で整理すると分かりやすくなります。

 

待遇差の見直しは、単にコストを増やす話ではありません。

 

会社として、どの仕事にどのような役割や責任があり、それに対してどう処遇しているのかを整理する機会でもあります。

 

その整理ができると、採用時や更新時にも説明しやすくなります。

 

 

【会社が確認したいチェックポイント】

 

パートや契約社員との待遇差について、確認したいポイントを整理します。

 

正社員、パート、契約社員の待遇を一覧にしているか。

 

基本給、賞与、手当、休暇、福利厚生を個別に確認しているか。

 

待遇差の理由を説明できるか。

 

「パートだから」という理由だけで差をつけていないか。

 

仕事内容や責任の違いを整理しているか。

 

配置転換や転勤の有無を確認しているか。

 

雇用契約書と実際の運用が合っているか。

 

就業規則や賃金規程と実態がずれていないか。

 

待遇差について質問されたときの説明方法を考えているか。

 

令和8年10月からの改正ガイドラインの内容も確認しているか。

 

まずは、自社の賃金や手当の一覧を見直すだけでも、気づくことがあります。

 

「なぜこの手当は正社員だけなのか」

 

そう聞かれたときに、会社として説明できる状態を目指したいところです。

 

 

【まとめ:待遇差は、理由を説明できるかが大切】

 

パートや契約社員との待遇差は、どの会社でも起こりやすいテーマです。

 

正社員とまったく同じ待遇にしなければならない、ということではありません。

 

ただし、待遇差があるなら、その理由を説明できることが大切です。

 

仕事内容が違うのか。

 

責任の重さが違うのか。

 

配置転換や転勤の範囲が違うのか。

 

将来期待している役割が違うのか。

 

こうした違いを整理せずに、「正社員だから」「パートだから」とだけ分けている場合は注意が必要です。

 

待遇差を見直すことは、会社にとって負担に感じるかもしれません。

 

しかし、きちんと整理しておくことで、社員から質問されたときにも落ち着いて説明できます。

 

採用時や契約更新時の不信感も減らしやすくなります。

 

そして、働く人にとっても、自分の役割や待遇の理由が分かることは安心につながります。

 

「昔からこの扱いだから」

 

「パートには支給していないから」

 

で終わらせず、一度、自社の待遇差を確認してみてはいかがでしょうか。

 

 

出典:

厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」

厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法とは」

厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」

厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法等 よくあるご質問」

厚生労働省「非正規雇用労働者(有期・パート)の雇用」

e-Gov法令検索「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」

 

※本記事は、2026年8月25日時点で公表されている厚生労働省等の情報をもとに作成しています。制度内容や取扱いは変更される場合がありますので、最新情報は厚生労働省等の公的情報をご確認ください。

 

※待遇差の合理性は、職務内容、責任の程度、配置転換の範囲、賃金制度、就業規則、雇用契約、実際の運用などによって判断が異なる場合があります。実際の対応にあたっては、自社の実態に合わせて確認することをおすすめします。