新しく社員を採用したとき、仕事の進め方や社内ルールは説明していると思います。
ただ、安全衛生についてはどうでしょうか。
「危ない作業はないから大丈夫」
「簡単な仕事だから説明しなくても分かる」
「現場で見ながら覚えてもらっている」
「忙しくて初日に詳しく説明できていない」
このような状態になっていないでしょうか。
労働安全衛生法では、労働者を雇い入れたときや作業内容を変更したとき、事業者はその業務に関する安全または衛生のための教育を行う必要があります。
安全衛生教育は、建設業や製造業だけの話ではありません。
店舗、事務所、介護、飲食、配送、清掃、倉庫など、さまざまな職場で必要になります。
今回は、新人を迎えるときに会社が確認しておきたい安全衛生教育の基本をお伝えします。
【新人は職場の危険に気づきにくい】
長く働いている人にとっては当たり前のことでも、新人には分からないことがたくさんあります。
床が滑りやすい場所。
重い荷物の持ち方。
台車の使い方。
機械や刃物の扱い。
厨房や倉庫での注意点。
お客様対応中の避難経路。
体調不良時の報告方法。
これらは、最初にきちんと伝えておかないと、事故やケガにつながることがあります。
「見れば分かるだろう」
「先輩のやり方を見て覚えて」
だけでは不十分なこともあります。
新人は、分からないことがあっても遠慮して質問できない場合があります。
だからこそ、会社側から必要なことを伝える仕組みを作っておくことが大切です。
【入社時に伝えたいこと】
安全衛生教育で伝える内容は、業務内容によって変わります。
ただ、どの職場でも、最低限確認しておきたいことがあります。
職場で危険な場所。
使う道具や設備の注意点。
作業前の確認事項。
服装や保護具のルール。
休憩や水分補給。
体調不良時の報告先。
ケガや事故が起きたときの連絡方法。
火災や災害時の避難経路。
ハラスメントやトラブル時の相談先。
特に、現場作業や飲食、介護、物流などでは、体を使う仕事が多くなります。
重いものを一人で持たない。
濡れた床はすぐに拭く。
刃物や熱いものを扱うときは声をかける。
機械の操作は許可された人だけが行う。
こうした基本を、最初に具体的に伝えておきましょう。
【作業が変わるときも教育が必要】
安全衛生教育は、入社時だけで終わりではありません。
作業内容が変わるときにも必要です。
たとえば、
事務職から倉庫作業を手伝うようになった。
店舗スタッフが配送業務も担当するようになった。
新しい機械やシステムを使うことになった。
清掃範囲が変わった。
夜間作業や早朝作業が増えた。
このような場合、これまでと違うリスクが出てきます。
「同じ会社で働いているから大丈夫」と考えず、作業内容が変わるときには、必要な説明を行いましょう。
特に、急な人手不足で別の仕事を手伝ってもらう場合は注意が必要です。
慣れていない作業ほど、事故が起こりやすくなります。
【教育した記録を残す】
安全衛生教育を行ったら、記録を残しておくことも大切です。
記録といっても、難しい書類でなくて構いません。
教育した日。
対象者の名前。
説明した内容。
担当者の名前。
使用した資料。
本人の確認サイン。
このような内容があれば、後から確認しやすくなります。
事故が起きたときにも、会社としてどのような説明をしていたのかを振り返ることができます。
記録は、会社を守るためだけではありません。
次に新人が入ったとき、同じ内容を漏れなく説明するためにも役立ちます。
【会社が確認したいチェックポイント】
安全衛生教育について、確認したいポイントを整理します。
入社時に安全衛生教育を行っているか。
パートやアルバイトにも説明しているか。
業務内容に合った注意点を伝えているか。
危険な場所や作業を具体的に説明しているか。
ケガや体調不良時の連絡先を伝えているか。
作業内容が変わるときに再度説明しているか。
教育した内容を記録しているか。
新人教育が現場任せになっていないか。
忙しい時期ほど説明が省略されていないか。
初めて来る人でも分かる言葉で伝えているか。
安全衛生教育は、特別な研修会を開かなければできないものではありません。
まずは、自社の仕事で起こりやすい事故や困りごとを整理し、新人に必ず伝える項目を作ることから始めてみましょう。
【まとめ:安全衛生教育は最初の安心づくり】
新人への安全衛生教育は、事故を防ぐためだけでなく、安心して働き始めてもらうための大切な時間です。
職場の危険な場所。
作業の注意点。
困ったときの相談先。
事故が起きたときの連絡方法。
これらを最初に伝えておくことで、新人は安心して仕事に入りやすくなります。
会社にとっても、労災やトラブルを防ぎ、現場の負担を減らすことにつながります。
「簡単な仕事だから説明しなくても大丈夫」
「忙しいから現場で覚えてもらう」
ではなく、短時間でもよいので、最初に必要なことを伝える。
その積み重ねが、安全で働きやすい職場づくりにつながります。
出典:
厚生労働省「労働安全衛生関係の免許・資格・技能講習・特別教育など」
厚生労働省「職場のあんぜんサイト 安全衛生教育」
東京労働局「労働安全衛生教育の重要性について」
e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」

