パートやアルバイトが多い職場では、シフト制で勤務していることが多いと思います。
飲食店、小売店、介護、医療、清掃、物流、コールセンターなど、シフト制はさまざまな現場で使われています。
ただ、シフト作成を現場任せにしていると、思わぬトラブルが起こることがあります。
「希望した日数より大幅に減らされた」
「急にシフトを変更された」
「休みたいと言いにくい」
「契約書と実際の勤務日数が違う」
「人手不足で休憩が取れていない」
このような声が出ることもあります。
シフト制は、会社にとっても働く人にとっても柔軟な仕組みです。
ただし、柔軟だからこそ、ルールをあいまいにしないことが大切です。
今回は、シフト作成やシフト変更について、会社が確認しておきたいポイントを社会保険労務士の視点からお伝えします。
【シフト制でも労働条件の明示は必要】
シフト制で働く場合でも、労働条件の明示は必要です。
「シフトによる」と書いておけば何でもよい、というわけではありません。
労働契約を結ぶときには、賃金、労働時間、休日、休憩、契約期間、就業場所、業務内容などを明示する必要があります。
シフト制の場合は特に、
どのくらいの日数働くのか。
勤務時間帯はどの範囲なのか。
休日はどのように決まるのか。
シフトはいつまでに決まるのか。
本人の希望はどのように出すのか。
会社都合で変更する場合はどうするのか。
こうした点を明確にしておきたいところです。
労働条件があいまいだと、後から「思っていた働き方と違う」と言われる可能性があります。
【契約書と実際の勤務日数がずれていないか】
シフト制でよくあるのが、契約書と実際の勤務日数のズレです。
契約書では週3日程度となっているのに、実際には週5日勤務が続いている。
反対に、週4日働けると説明していたのに、実際には週1日しか入れない。
このようなズレは、本人の収入や生活にも影響します。
また、勤務日数や労働時間が変わると、社会保険、雇用保険、有給休暇、残業代などにも関係します。
「シフトだから毎月変わる」
というだけで済ませず、契約時に想定していた働き方と実態が大きくずれていないか確認しましょう。
長く働いている人ほど、最初の契約内容と実際の働き方が変わっていることがあります。
【シフトの決定時期を決めておく】
シフト作成では、いつシフトが決まるのかも大切です。
直前までシフトが分からないと、働く人は予定を立てにくくなります。
家庭の予定。
学校の予定。
別の仕事。
通院。
子どもの行事。
こうした予定との調整ができず、不満につながることがあります。
会社としても、直前までシフトが決まらないと、欠勤や変更が増えやすくなります。
たとえば、
毎月20日までに翌月シフト希望を提出する。
毎月25日までに翌月シフトを確定する。
変更が必要な場合は、早めに本人へ確認する。
このように、提出期限と確定時期を決めておくと、運用しやすくなります。
シフトは現場の都合だけでなく、働く人の生活にも関わるものです。
【会社都合のシフト削減に注意】
シフト制で特に注意したいのが、会社都合でシフトを大きく減らす場合です。
予約が少ない。
売上が落ちている。
人員が多すぎた。
閑散期になった。
このような理由で、予定していた勤務日数を減らしたくなることがあります。
ただ、労働契約で一定の労働日数や時間を約束している場合、会社の都合で一方的に減らすことには注意が必要です。
本人にとっては、シフトが減ることは収入が減ることです。
「今月は入れないから」
と簡単に伝えるだけでは、不信感につながります。
シフトの増減がある職場では、契約時にどの程度変動があるのか、最低勤務日数をどう考えるのか、あらかじめ整理しておきましょう。
【シフト変更のルールを決める】
一度決まったシフトを変更することもあります。
本人の都合で変更したい場合。
会社都合で変更したい場合。
急な欠勤が出た場合。
天候や予約状況で勤務が不要になる場合。
このような場面で、誰が判断し、どのように本人へ確認するのかを決めておくことが大切です。
特に、会社都合で勤務を取り消す場合は注意が必要です。
すでに勤務予定として確定していた場合、休業手当などが問題になることがあります。
また、本人に無理に交代勤務を求めることも避けたいところです。
シフト変更は、現場では日常的に起こります。
だからこそ、ルールを決めておかないと、その場の力関係や雰囲気で進んでしまいます。
【休憩や残業も確認する】
シフト制では、休憩や残業も見落とされやすい部分です。
忙しくて休憩が取れなかった。
予定より勤務時間が延びた。
閉店作業で毎回残業している。
早出を頼んでいるが記録していない。
こうしたことが起きていないか確認しましょう。
シフト表上は休憩1時間になっていても、実際には電話番や来客対応をしている場合、休憩として十分か確認が必要です。
また、予定より長く働いた場合は、その分の労働時間を記録し、賃金に反映する必要があります。
シフト表は予定です。
実際の勤怠記録と照らし合わせることが大切です。
【会社が確認したいチェックポイント】
シフト制の労務管理について、確認したいポイントを整理します。
労働条件通知書にシフト制の働き方を明示しているか。
勤務日数や勤務時間の目安を伝えているか。
シフト希望の提出期限を決めているか。
シフトの確定時期を決めているか。
契約書と実際の勤務日数が大きくずれていないか。
会社都合でシフトを減らす場合の扱いを確認しているか。
シフト変更時に本人へ確認しているか。
休憩時間が実際に取れているか。
予定時間を超えた勤務を記録しているか。
社会保険や雇用保険、有給休暇への影響を確認しているか。
シフト制は便利な仕組みですが、現場任せにするとトラブルになりやすい面もあります。
まずは、シフトの決め方と変更ルールを見直してみるとよいでしょう。
【まとめ:シフト制は柔軟さとルールの両方が大切】
シフト制は、会社にとっても働く人にとっても便利な働き方です。
必要な時間に人を配置できる。
本人の希望に合わせて働ける。
繁忙期や閑散期に調整しやすい。
こうしたメリットがあります。
一方で、勤務日数や時間、シフト変更、休憩、残業の扱いがあいまいだと、トラブルにつながります。
大切なのは、柔軟に運用しながらも、基本ルールを決めておくことです。
いつシフトを決めるのか。
どのくらい働く予定なのか。
変更するときはどうするのか。
会社都合で減らす場合はどう扱うのか。
実際の労働時間をどう記録するのか。
ここを整えておくだけでも、現場の負担や不満を減らしやすくなります。
「シフト作成は現場に任せている」
「契約書と実際の勤務日数が違っているかもしれない」
「急なシフト変更が多い」
という会社は、一度、自社のシフト運用を確認してみてはいかがでしょうか。
出典:
厚生労働省「いわゆる『シフト制』について」
厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」
厚生労働省「シフト制労働契約簡易チェックリスト」
厚生労働省「労働条件の明示」
厚生労働省「労働時間・休日」
e-Gov法令検索「労働基準法」

