会社には、社員を雇ううえで作成・保存しておくべき書類があります。
ただ、日々の業務が忙しいと、
「給与明細は出しているから大丈夫」
「勤怠システムに記録があるから問題ない」
「入社時の書類がどこにあるか分からない」
「退職者の書類はもう処分してしまった」
ということもあるかもしれません。
労務管理では、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿やタイムカードなどの記録がとても大切です。
これらは、トラブルが起きたときに会社の対応を確認する資料にもなります。
今回は、会社が整えておきたい労務書類の基本についてお伝えします。
【労働者名簿とは】
労働者名簿は、社員ごとの基本情報を記録する書類です。
氏名。
生年月日。
履歴。
性別。
住所。
従事する業務の種類。
雇入れ年月日。
退職や死亡の年月日とその理由。
こうした内容を記録します。
入社時に履歴書や雇用契約書をもらっているから、それで十分と思われることもあります。
しかし、労働者名簿は会社として作成しておくべき帳簿です。
社員の入退社があったときや住所変更があったときなど、内容が古くならないように確認しておきましょう。
【賃金台帳とは】
賃金台帳は、給与計算の内容を記録する書類です。
賃金計算期間。
労働日数。
労働時間数。
時間外労働、休日労働、深夜労働の時間数。
基本給や手当。
控除額。
実際に支払った賃金額。
こうした内容を記録します。
給与明細を発行している会社でも、賃金台帳として必要な項目がきちんと整理されているか確認が必要です。
特に、残業代、欠勤控除、遅刻早退控除、手当の内訳などが分かる状態になっているかが大切です。
賃金台帳は、未払い残業代や給与計算の確認でも重要な資料になります。
【出勤簿やタイムカードも大切】
労働時間を確認するためには、出勤簿、タイムカード、勤怠システムの記録なども必要です。
始業時刻。
終業時刻。
休憩時間。
残業時間。
休日出勤。
有給休暇。
欠勤、遅刻、早退。
これらが記録されていないと、実際に何時間働いたのか分からなくなります。
「うちは月給だから細かく記録していない」
「管理職だから打刻していない」
「パートだけ記録している」
という運用は注意が必要です。
労働時間の記録は、給与計算だけでなく、健康管理や長時間労働対策にも関わります。
【保存期間にも注意】
労働者名簿、賃金台帳、雇入れや退職に関する書類などは、一定期間保存する必要があります。
労働基準法では、労働者名簿、賃金台帳、雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類について保存義務が定められています。
現在は経過措置により、当分の間、保存期間は3年とされています。
ただし、法律上は5年保存が原則となっているため、今後の取扱いにも注意が必要です。
退職した社員の書類も、退職後すぐに処分しないようにしましょう。
後から、給与、退職、解雇、有給休暇、社会保険などについて確認が必要になることがあります。
【会社が確認したいチェックポイント】
労務書類について、確認したいポイントを整理します。
労働者名簿を作成しているか。
住所変更や退職など、内容を更新しているか。
賃金台帳に必要な項目が記録されているか。
給与明細だけで済ませていないか。
出勤簿やタイムカードで労働時間を確認できるか。
残業、休日労働、深夜労働の時間を把握しているか。
雇用契約書や労働条件通知書を保存しているか。
退職者の書類も保存しているか。
保存期間を確認しているか。
電子データで保存する場合、必要なときに見られる状態か。
労務書類は、普段は目立ちません。
しかし、何かあったときに会社を支える大切な記録です。
【まとめ:労務書類は会社の対応を残すためのもの】
労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などは、単なる事務書類ではありません。
会社が誰を雇い、どのような条件で働いてもらい、どのように給与を支払っていたのかを示す大切な記録です。
書類が整っていないと、後から確認したくても分からないことがあります。
給与計算のミス、残業代、退職時のトラブル、労働時間の確認など、さまざまな場面で困る可能性があります。
「担当者に任せきりになっている」
「古い書類の保管場所が分からない」
「勤怠記録と給与計算がつながっているか不安」
という会社は、一度、労務書類の整備状況を確認してみてはいかがでしょうか。
出典:
厚生労働省「労働者名簿、賃金台帳について」
厚生労働省「賃金台帳等の労働契約関係の書類の保存期間は何年ですか?」
厚生労働省「労務関係の書類をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか。」
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
e-Gov法令検索「労働基準法」
e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」

