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作成日:2026/10/09
仕事がないから休んでもらう…給与は払わなくていい?会社が確認したい休業手当の基本

会社を運営していると、予定していた仕事が急になくなったり、業務量が少なくなったりすることがあります。

 

 

そんなとき、

 

 

「今日は仕事がないので休んでください」

 

 

「今週はシフトに入らなくて大丈夫です」

 

 

と社員に伝えることもあるかもしれません。

 

 

社員が実際に働いていなければ、給与は払わなくてもよいように思えます。

 

 

しかし、会社の事情で社員を休ませた場合には、「休業手当」の支払いが必要になることがあります。

 

 

今回は、会社都合で社員を休ませる場合に確認しておきたい休業手当の基本についてお伝えします。

 

 

 

【会社の都合で休ませる場合は注意】

 

 

労働基準法では、「使用者の責に帰すべき事由」によって社員を休業させた場合、会社は休業期間中、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があるとされています。

 

 

ここでいう「休業」は、会社全体を休みにする場合だけではありません。

 

 

社員一人だけを休ませる場合や、予定していた勤務日を会社の判断で休みにする場合にも問題になります。

 

 

たとえば、

 

 

●仕事が少ないため社員を休ませる

 

●受注が減ったためシフトを減らす

 

●会社側の都合で店舗を休業する

 

●機械や設備の故障により仕事を止める

 

●原材料の不足などで業務ができなくなる

 

 

といった場合です。

 

 

もちろん、すべての場合に必ず休業手当が必要になるわけではありません。

 

 

休業となった原因や会社側で回避できた可能性などを踏まえて、個別に判断する必要があります。

 

 

 

【「シフトを減らしただけ」でも確認が必要です】

 

 

特に注意したいのが、パートやアルバイトのシフトを減らす場合です。

 

 

たとえば、毎週一定の曜日や時間で勤務している社員について、会社側の事情で突然、

 

 

「今月は暇なので週3日から週1日にします」

 

 

と勤務日数を減らしたとします。

 

 

会社としては、

 

 

「働いていない日の給与は発生しない」

 

 

と考えるかもしれません。

 

 

しかし、もともとの雇用契約やこれまでの勤務実態から勤務日が決まっている場合には、単純にシフトから外せばよいとは限りません。

 

 

会社都合による休業に該当する可能性があります。

 

 

シフト制だから会社が自由に勤務日数をゼロまで減らせる、というわけではありません。

 

 

雇用契約書や労働条件通知書にどのような勤務日数・勤務時間が定められているかも確認しましょう。

 

 

 

【休業手当は「給与の60%」とは限りません】

 

 

休業手当について、

 

 

「いつもの給与の6割を払えばいい」

 

 

と思われることがあります。

 

 

法律では、「平均賃金の60%以上」とされています。

 

 

平均賃金は、原則として直前3か月間に支払われた賃金総額を、その期間の総日数で割って計算します。

 

 

そのため、単純に月給や日給へ60%を掛けた金額とは異なることがあります。

 

 

給与形態や勤務状況によって計算方法も変わるため、実際に休業手当を支給するときには平均賃金を確認することが大切です。

 

 

 

【災害などで休業した場合はどうなる?】

 

 

台風、地震、大雪などによって会社を休業することもあります。

 

 

この場合も、必ず休業手当が必要、あるいは必ず不要、と一律に判断できるわけではありません。

 

 

厚生労働省では、天災事変などの「不可抗力」による休業については、使用者の責に帰すべき事由に当たらない場合があるとしています。

 

 

不可抗力とされるためには、一般に、

 

 

●原因が事業の外部から発生したものであること

 

●通常の経営者として最大限の注意を尽くしても避けられなかったこと

 

 

などがポイントになります。

 

 

たとえば、地震によって事業所そのものが被害を受け、どうしても営業できない場合と、直接の被害はないものの会社の判断で早めに休業する場合とでは、事情が異なります。

 

 

災害だから当然に無給、と決めつけないようにしましょう。

 

 

 

【「年休を使ってください」でよい?】

 

 

会社都合で仕事を休ませる際に、

 

 

「有給休暇が残っているので、それを使ってください」

 

 

と処理したくなることもあります。

 

 

しかし、年次有給休暇は原則として社員本人が取得時季を指定して利用する制度です。

 

 

会社が休業手当を支払いたくないという理由で、一方的に社員の年休を充てることは適切ではありません。

 

 

本人が希望して年休を取得する場合は別ですが、会社都合の休業と年次有給休暇は分けて考える必要があります。

 

 

給与計算をするときだけでなく、休ませることを決めた段階で、どのような扱いにするのか確認しておきましょう。

 

 

 

【社員を早く帰らせる場合も確認しておきましょう】

 

 

「今日は仕事がないので、午後は帰ってください」

 

 

というケースもあります。

 

 

1日すべて休ませた場合だけでなく、一部の時間について会社都合で働かせなかった場合にも、休業手当との関係を確認する必要があります。

 

 

実際に働いた時間に対する賃金と、休業手当として必要になる金額との関係を確認して精算することになります。

 

 

そのため、

 

 

●何時から何時まで働いたのか

 

●会社が何時に帰宅を指示したのか

 

●その理由は何だったのか

 

 

といった記録も残しておくとよいでしょう。

 

 

 

【会社が確認したいポイント】

 

 

会社都合で社員を休ませるときには、次のような点を確認してみましょう。

 

 

●休業となった原因は何か

 

●会社側の事情による休業ではないか

 

●雇用契約上の勤務日や勤務時間はどうなっているか

 

●シフトを一方的に減らしていないか

 

●休業手当が必要なケースか確認したか

 

●平均賃金を正しく計算しているか

 

●会社都合の休業を年次有給休暇に振り替えていないか

 

●休業日や休業理由を記録しているか

 

●一部休業の場合も必要な精算を確認しているか

 

 

急に仕事がなくなったときは、まず現場をどうするかに意識が向きがちです。

 

 

しかし、社員にとっては、その日の給与がどうなるかは大きな問題です。

 

 

休業を決めるときには、給与の扱いまでセットで確認するようにしましょう。

 

 

 

【まとめ:休ませる前に給与の扱いも確認する】

 

 

仕事が少ない。

 

 

注文がキャンセルになった。

 

 

店舗を急きょ休みにする。

 

 

このような理由で、社員に休んでもらうこと自体は実務上あり得ます。

 

 

ただし、会社の都合で休ませる場合には、

 

 

「働いていないから給与はゼロ」

 

 

と単純に考えることはできません。

 

 

休業手当が必要かどうかは、なぜ休業することになったのか、会社側で回避できた事情だったのかなどによって判断します。

 

 

特にパートやアルバイトについては、シフトを減らすことで実質的に休業させていないか注意が必要です。

 

 

社員に休業を伝える前に、雇用契約、勤務予定、休業理由、給与の取扱いを一度整理しておくことをおすすめします。

 

  

出典:

 厚生労働省「労働基準法」第26条(休業手当)

 厚生労働省「労働基準法等に関するQ&Aのポイント」

 厚生労働省「地震に伴う休業に関する取扱いについて」