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作成日:2026/10/10
退職証明書を求められたらどうする?会社が確認したい記載内容と離職票との違い

 

 

社員が退職するときには、会社側でさまざまな手続きが必要になります。

 

 

社会保険の資格喪失。

 

 

雇用保険の手続き。

 

 

源泉徴収票の発行。

 

 

給与や有給休暇の精算。

 

 

その中で、社員から突然、

 

 

「退職証明書を出してください」

 

 

と言われることがあります。

 

 

あまり頻繁に発行する書類ではないため、

 

 

「離職票のことですか?」

 

 

「会社に発行義務があるのですか?」

 

 

と迷うこともあるかもしれません。

 

 

退職証明書は、一定の場合に会社が交付しなければならない書類です。

 

 

今回は、退職証明書について会社が確認しておきたい基本をお伝えします。

 

 

 

【退職証明書とは?】

 

 

退職証明書は、その社員が会社を退職したことや、在職中の状況などを会社が証明する書類です。

 

 

労働基準法では、社員から請求があった場合、会社は遅滞なく退職証明書を交付しなければならないとされています。

 

 

証明できる事項は、次のとおりです。

 

 

●使用期間

●業務の種類

●会社における地位

●賃金

●退職の事由

 

 

退職の事由が解雇である場合には、解雇の理由も含まれます。

 

 

会社が必要と考える内容を自由に書く書類ではなく、法律上、証明できる事項が決められています。

 

 

 

【社員が希望していないことは書かない】

 

 

退職証明書で特に注意したいのが、社員が請求していない事項まで記載しないことです。

 

 

たとえば、本人から、

 

 

「在籍していた期間だけ証明してください」

 

 

と求められた場合に、会社が勝手に、

 

 

●退職理由

●賃金額

●役職

●勤務態度に関する内容

 

 

などを付け加えることは適切ではありません。

 

 

労働基準法では、労働者が請求していない事項を退職証明書に記載してはならないとされています。

 

 

会社としては詳しく説明したくなる場面もありますが、まずは本人が何を証明してほしいのかを確認しましょう。

 

 

 

【離職票とは別の書類です】

 

 

退職証明書とよく混同されるのが、雇用保険の離職票です。

 

 

この2つは別の書類です。

 

 

退職証明書は、会社が退職した社員の求めに応じて発行する証明書です。

 

 

一方、離職票は、退職した人が雇用保険の基本手当などの手続きをするときに使用する書類です。

 

 

発行の目的も手続きも異なります。

 

 

そのため、社員から、

 

 

「退職したことが分かる書類がほしい」

 

 

と言われた場合には、

 

 

●転職先への提出なのか

●雇用保険の手続きに使うのか

●健康保険など別の手続きで必要なのか

 

 

を確認しておくと、必要な書類を案内しやすくなります。

 

 

 

【会社独自の書式でもよい?】

 

 

退職証明書については、必ずこの様式を使わなければならないというものではありません。

 

 

会社独自の様式を用意しても構いません。

 

 

ただし、本人が求めている事項を正確に記載し、不要な情報を記載しないことが大切です。

 

 

厚生労働省では、「退職事由に係るモデル退職証明書」も公開しています。

 

 

普段あまり発行する機会がない会社では、このような公的な様式を参考にして準備しておくとよいでしょう。

 

 

 

【解雇の場合は特に慎重に】

 

 

退職証明書は、自己都合退職だけに関係するものではありません。

 

 

解雇の場合には、社員が解雇理由について証明書を請求することもできます。

 

 

労働基準法では、解雇予告を受けた日から退職日までの間に、社員が解雇理由について証明書を請求した場合にも、会社は遅滞なく交付しなければならないとされています。

 

 

解雇理由を書く場合には、

 

 

「勤務態度が悪かったため」

 

 

といった曖昧な表現だけで済ませるのではなく、実際の解雇理由と整合する内容にしておく必要があります。

 

 

後から説明内容が変わると、会社の対応自体に疑問を持たれることがあります。

 

 

解雇を行う場合には、退職証明書だけでなく、これまでの注意指導や面談、就業規則上の根拠なども含めて整理しておくことが大切です。

 

 

 

【退職理由は会社と本人で食い違うこともあります】

 

 

実務では、退職理由について会社と本人の認識が違うことがあります。

 

 

たとえば会社は、

 

 

「本人から退職すると申し出たので自己都合退職」

 

 

と考えていても、本人は、

 

 

「会社から辞めるように言われた」

 

 

と考えているケースです。

 

 

退職証明書に記載する内容は、その後のトラブルにも影響する可能性があります。

 

 

そのため、退職時には、

 

 

●誰から退職の話が出たのか

●いつ退職の意思表示があったのか

●どのようなやり取りがあったのか

●退職届や合意書があるか

 

 

といった点を整理しておきましょう。

 

 

「退職日だけ決まっていればよい」と考えず、退職理由についても会社と本人の認識を確認しておくことが大切です。

 

 

 

【退職後に請求された場合は?】

 

 

退職証明書は、退職日に必ず会社から渡す書類というわけではありません。

 

 

社員から請求された場合に交付するものです。

 

 

そのため、退職時には請求がなくても、後日、転職先への提出などのために請求されることがあります。

 

 

「もう退職した社員だから対応しない」

 

 

ということにはなりません。

 

 

請求があったときに確認できるよう、雇用契約書、賃金台帳、労働者名簿、退職届などの関係書類を適切に保存しておくことも重要です。

 

 

 

【会社が確認したいポイント】

 

 

社員から退職証明書を求められたときには、次のような点を確認しましょう。

 

 

●本人が何を証明してほしいのか確認したか

●請求されていない事項まで記載していないか

●在籍期間や業務内容などに誤りがないか

●退職理由について会社の記録と整合しているか

●解雇の場合は、その理由を適切に説明できるか

●離職票など別の書類と混同していないか

●退職後の請求にも対応できるよう記録を保存しているか

 

 

退職証明書は、会社にとっては一枚の書類かもしれません。

 

 

しかし、退職した社員にとっては、転職や各種手続きで必要になることがあります。

 

 

請求を受けてから慌てることがないよう、どのような書類なのかをあらかじめ把握しておきましょう。

 

 

 

【まとめ:退職時の書類は「何を求められているか」を確認する】

 

 

社員が退職するときには、会社から発行する書類がいくつもあります。

 

 

そのため、

 

 

「退職証明書をください」

 

 

と言われても、離職票や源泉徴収票などと混同してしまうことがあります。

 

 

退職証明書について大切なのは、本人が何を証明してほしいのかを確認し、その範囲で正確に記載することです。

 

 

特に退職理由や解雇理由については、後から問題になりやすい部分です。

 

 

普段から退職時のやり取りを記録し、必要な書類を整理しておくことが、スムーズな退職手続きにつながります。

 

 

退職時の社内手続きについて、「担当者しか分からない」という状態になっている会社は、一度、発行する書類と対応の流れを整理してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

出典:

 

厚生労働省「労働基準法」第22条(退職時等の証明)

厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」

厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)」

e-Gov法令検索「労働基準法」